2014/01/21

記事:観光客誘致:イスラム教徒「おもてなし」強化 成田と関空

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観光客誘致:イスラム教徒「おもてなし」強化 成田と関空

毎日新聞 2013年12月28日 10時57分
 観光庁がイスラム教徒(ムスリム)らの観光客100万人を掲げていることを受け、玄関口となる成田と関西の両国際空港が、戒律に従った「ハラール食」の提供や礼拝スペースの拡充など「おもてなし」の取り組みを強化し始めた。中国・韓国との関係改善が見通せない中、海外から日本への観光客は今年初めて1000万人を突破。激化する空港間競争に打ち勝ち、更なる集客を図るためにも「ムスリムに選ばれる空港」を目指している。
 イスラム教は豚肉やアルコールの摂取を禁じ、それらに触れた調理器具も使えない。成田空港は12月から有料待合室の利用者に対し、専用キッチンを備えた機内食工場で調理したハラール食の出前を始めた(要予約)。来夏までに専用レストランを旅客ターミナルビルにオープンさせる計画もある。
 もう一つ力を入れているのが、礼拝場所の確保・拡充。ムスリムは1日5回、聖地メッカに向かって礼拝する。成田空港は2005年に多目的室2カ所を設け、方角を示す「キブラ」という紙を天井に張った。しかしPRが不足し、利用は1日平均2.5件(今年度)に低迷。ロビーの片隅で礼拝するムスリム乗客も多いという。
 そのため、今月からは多目的室を「プレイヤー・ルーム(礼拝室)」に改称。年明けには礼拝前に手足を清めるための水場も併設する予定だ。来夏までに出国審査後のエリアにも2カ所増設する。
 日本政府観光局によると、訪日ビザの発給要件緩和で、既にイスラム諸国から訪日する人は増えており、特に東南アジアは伸びが著しい。マレーシアから11月に訪日した人は前年同月比72.7%増の推計約2万6200人で、単月では過去最高となった。また、インドネシアも同43.3%増で11月としては過去最高の1万1000人を記録。年間で見ても、12年はマレーシアが前年度比59.7%増、インドネシアが同63.9%増だ。
 来春から羽田空港の国際線発着枠が拡大し、外国人観光客の奪い合いは激化する見通し。20年の東京五輪開催も見据え、成田国際空港会社の夏目誠社長は「経済成長する東南アジアは集客の一番のターゲットだ」と集客への熱い期待を隠さない。【味澤由妃】
 関空が目指すのは「ムスリムフレンドリーエアポート」。これまで第1ターミナル国際線出発階に1カ所設けていた礼拝スペースを年度内に3カ所に増設する。いずれも男女別室で24時間開放。手足の洗い場も設ける。
 ターミナル内の飲食店では、うどん店とそば店がハラール認定を受け、15店が豚肉やアルコールを使わないメニューを常備。今月2日には修学旅行のマレーシアの高校生ら44人が空港内でハラール食を味わった。おでんやそばなど和食中心のメニューで、アルコールが含まれるしょうゆやみりんは不使用。評判は上々だった。
 空港内にある唯一の宿泊施設「ホテル日航関西空港」も10月から礼拝に使うマットや衣装の貸し出しサービスを開始。全576室の壁にキブラを貼り付けた。新関西国際空港会社は「イスラム教徒がストレスなく旅行できる環境を整え、訪日需要を取り込みたい」としている。【山田泰正】
 日本ムスリム協会の遠藤利夫理事の話 戒律の厳しいムスリムを受け入れようという方向性は素晴らしい。ただ、もしハラール食に混入や偽装があれば日本の国際的信頼が揺らぐ。どうせやるなら、できるだけ厳格にチェックするよう注文したい。

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