2013/10/18

記事:非バックパッカーに人気?変わる「ホステル」

http://toyokeizai.net/articles/-/21753

非バックパッカーに人気?変わる「ホステル」

もはや「安かろう、悪かろう」ではない!


過去のイメージとは違う、おしゃれなホステルが日本各地に出現している(写真は台東区蔵前にある「Nui」の1階ラウンジスペース)

低予算で世界を旅する個人旅行者、バックパッカーにはおなじみの宿泊施設「ホステル」。1泊1人当たり2000~3000円台、6~10人の相部屋 というのが特徴で、外国人の個人旅行者向けの安宿という印象が強い。だが最近、そんな一般的なイメージを覆す、新しい「ホステル」が東京都内に出現。外国 人だけでなく、国内旅行者からも人気を博している。

ハイセンスすぎるホステルが出現

東京スカイツリーまで徒歩15分、東京都台東区蔵前にあるNui(ヌイ)。開放感がある高い天井、コンクリート打ち放しの壁、温かみのある木のテーブルにオブジェ――ヌイの1階ラウンジは、一見すると宿泊施設というより、内装デザインにこだわった飲食店のようだ。
実際、夜7時から深夜0時までは、宿泊客以外も利用できるバーとして営業している。日中のラウンジで、PCを見ている人、本を読んでいる人、コー ヒーを飲んでいる人など世界各国の人々が思い思いにくつろぐ様子は、日本の下町とは思えない。「国籍、職業、年齢、性別などあらゆる境界線を越えて、人々 が集える場所を作りたい」(ヌイを運営する株式会社Backpackers'Japanの清水翔太郎さん)という会社創業当時の思いが、このラウンジの姿 に集約されている。
Backpackers'Japanの創業は3年半前、2010年2月だ。従業員の平均年齢は20代後半と若い。しかも、ホテル、旅館業などは未経験者ばかり。同級生6人でスタートした。
おもちゃ屋の倉庫を改装したヌイは、東京都台東区下谷にあった築90年の古民家を改装した1店舗目のtoco.(トコ)に続き、2軒目だ。いずれ も、内装リフォーム、宿のホームページデザイン、接客など、従業員が得意分野のスキルを持ち寄り、できるかぎりコストを抑えた。こうして、快適性と安さを 両立している。
たとえば、2段のパイプベッド。既製品をそのまま使うと、上下どちらかに寝る人が寝返りをするたび、ベッドが大きく揺れてしまう。そこでヌイでは木材を仕入れ、手作りで揺れの少ないベッドを製作。さらにカーテンで仕切るなど、相部屋でも快適に過ごせる工夫を施している。
宿泊の予約は簡単。世界のバックパッカーズが利用する安宿の検索サイト、Hostelworld.com(ホステルワールド)と、アジアを中心とし た海外格安ホテル検索サイトのagoda(アゴダ)で、ほかの宿と価格や口コミ情報を比較し、宿のホームページ経由で予約するだけだ。
Backpackers'Japanは、「国内向け宿泊施設検索サイトには情報提供をしておらず、積極的な営業活動も行っていない」(清水さん)。しかし、外国人旅行者向けの印象が強いホステルとしては珍しく、日本人宿泊者も3割を占めるほど人気化している。

女性のグループ客に人気

若い女性を意識し、壁やベッドにピンクやブルーなどの色を取り入れたという(写真は「カオサン東京」の客室)

浅草や秋葉原周辺でホステル「カオサン東京」も、外国人観光客に人気だ。カオサンを運営する有限会社万両の小澤弘視社長は、「都内中心にホステルタイプの宿泊施設は増えてきたものの、現状のニーズに対して、日本のホステルの数はまだ足りない」と話す。
今年5月に6店目としてオープンしたカオサン東京ラボラトリー店は、エアアジアの就航で、マレーシア、インドネシアからの旅行客の増加を想定。4年ほど前に開店を計画した。
国によって、個人旅行の旅のスタイルには特徴がある。台湾、タイ、マレーシア、インドネシアなどでは、家族や女性の友人同士など、3~4人でのグ ループ旅行が多い。そのためラボラトリー店の個室は3~4人向けとし、部屋以外でも集える場所としてキッチンを広めに作っている。また内装は、特に女性グ ループ客を意識している。ホステルタイプとしては珍しく、各部屋にもトイレ、洗面台、シャワールームがある。
カオサン東京が想定したとおり、ラボラトリー店の宿泊者のほとんどは外国人で、アジアからの旅行者が7割近くを占める。
ただ中には、女性4人で福岡から東京に遊びに来た学生グループも。「カラフルな内装がかわいい。4人1部屋で泊まることができる安い宿泊施設を探したら、ここくらいしかなかった」(福岡からの女性客)という。ホステル初心者の日本人旅行者は着実に増えている。 
「宿泊施設の稼働率は9割。11月にオープンを控えた京都に加えて、今後は大阪と東京に数店舗開業しようと考えている」(小澤社長)。

(撮影:大澤誠、吉野純治)

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